会社の固定費、どこから見直す?優先順位と削りすぎない手順

財務・資金繰り

「売上はそこそこあるのに、なぜか手元にお金が残らない」。そう感じている経営者は少なくありません。原因の一つになりやすいのが、売上に関係なく毎月出ていく固定費です。

たとえば、事業が伸びていた時期に契約したオフィスやリース、使い始めたクラウドサービスが、そのまま残っている会社を考えてみてください。一つひとつは大きな金額ではなくても、積み重なると毎月の支出を押し上げます。売上が落ちた月にも同じだけ出ていくため、資金繰りを苦しくする原因にもなります。

この記事では、会社の固定費の全体像のつかみ方、見直す順番、具体的な見直しの手順、そして削りすぎて事業の力を落とさないための注意点を、中小企業の経営者や管理部門の方に向けてまとめます。

固定費の全体像と優先順位

やみくもに削り始める前に、自社の固定費に何があり、どれから手をつけるべきかを整理しましょう。全体像が見えると、効果の大きいところから順に取り組めます。

固定費と変動費の違い

固定費は、売上の増減にかかわらず毎月ほぼ同じだけかかる費用です。家賃、リース料、保険料、通信費、システムの利用料などが代表的です。一方、変動費は、仕入れや外注費のように売上に応じて増減する費用です。

固定費は一度見直すと効果が毎月続く一方、売上が落ちても減らないため、多すぎると利益が出にくい体質になります。

自社の固定費を棚卸しする

まずは、毎月・毎年決まって支払っている費用を一覧にしましょう。会計ソフトの勘定科目や、口座から引き落とされている支払いを順に確認すると、漏れを防げます。

契約先、月額、契約期間、更新日、解約の条件もあわせて書き出しておくと、見直すときの判断がしやすくなります。

見直す順番を決める

一覧ができたら、金額の大きさと、見直しやすさの二つの軸で並べてみましょう。金額が大きく、契約の切り替えがしやすいものから手をつけるのが基本です。

更新日が近い契約は、そのタイミングに合わせて見直すと、違約金などの負担を避けやすくなります。

固定費を減らす具体的な手順

ここからは、多くの会社で見直しの対象になりやすい固定費と、その見直し方を紹介します。

通信費とシステム利用料

携帯電話や回線の契約、クラウドサービスやソフトの利用料は、使っていないものが残りやすい費用です。利用者の数と契約のアカウント数が合っているか、ほとんど使われていないサービスがないかを確認しましょう。

同じ機能を持つサービスを複数の部署で別々に契約している場合は、まとめることで費用を抑えられることがあります。

保険とリース

事業に関わる保険は、契約したときと今とで事業の規模や内容が変わっていることがあります。補償の内容が今の実態に合っているか、重複していないかを見直しましょう。

リース契約は、契約期間や中途解約の条件を確認し、更新のタイミングで、買い取りや別の契約に切り替えるかを検討します。

家賃と事務所の使い方

家賃は固定費の中でも大きくなりやすい項目です。在宅勤務の広がりなどで、事務所の使い方が変わっていないかを確かめてみましょう。

使われていない会議室や倉庫があれば、面積の見直しや移転を検討する材料になります。移転には一時的な費用もかかるため、長い目で見た効果と比べて判断しましょう。

支払い方法と契約条件

同じサービスでも、年払いや複数年の契約にすると割安になる場合があります。取引先との契約条件を、定期的に確認する習慣をつけましょう。

ただし、長期の契約は途中でやめにくくなります。事業の見通しとあわせて判断することが大切です。

削りすぎを防ぎ、浮いたお金を生かす

固定費の見直しは、減らせば減らすほどよいというものではありません。事業の力を落とさないための注意点もおさえておきましょう。

削ってはいけない固定費

社員が働きやすい環境を保つための費用や、安全や品質に関わる費用、売上を生む活動に必要な費用は、安易に削ると事業そのものに影響します。

削る前に、その費用がなくなったときに何が起きるかを、現場の担当者と一緒に確認しましょう。

よくある失敗パターン

目先の金額だけを見て安いサービスに切り替えた結果、手間が増えて残業代がかさんだ、という失敗はよくあります。

一度にたくさんの契約を変えて現場が混乱する、という例もあります。見直しは優先順位の高いものから順に進め、変えたあとの影響を確かめながら進めましょう。

浮いたお金の使い道を決める

固定費の見直しで生まれたお金は、使い道を先に決めておくと効果がはっきりします。手元資金を厚くして資金繰りに備える、成長につながる投資や人材への投資に回す、といった考え方があります。

見直しの成果を社員に共有すると、費用への意識が社内に広がるきっかけにもなります。

最後に、この記事のポイントを振り返ります。

  • 固定費は売上にかかわらず毎月出ていく費用で、一度見直すと効果が続く一方、多すぎると利益が出にくい体質になる
  • まず固定費を一覧にして、金額の大きさと見直しやすさで優先順位をつけ、契約の更新日に合わせて見直す
  • 通信費やシステム利用料、保険、リース、家賃、契約条件など、使っていないものや実態に合わないものから見直す
  • 事業の力を支える費用は削りすぎず、浮いたお金の使い道を先に決めておく

固定費の見直しは、会社の体質を少しずつ強くしていく取り組みです。まずは、毎月決まって支払っている費用を一覧にするところから始めてみてください。

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